今日は、若狭東高校の3年生と一緒に「しがら組」を作ります。
しがら組みとは、木と竹で作った簡易土留め柵のことで、コンクリート製のものに比べたら土留め効果はありませんが、山で調達できる自然材料だけで人力で作れる、「手作り治山」です。
今回は、木杭は森林組合の間伐作業で出た不要材、竹は口名田地区の方からご厚意で提供いただきました。
まず現場に木杭を等間隔に打ち込みます。
長さ1.5mほどの木杭をカケヤを使って30cmほど打ち込みますが、なかなか大変な作業です。
次に竹を縦に裂きます。「木元竹末」といって、竹を縦割りにするときは根元ではなく先端のほうから割ります。
最初、ナタをカケヤで打ち込んで割っていきます。
ある程度割れたら、両側から手で引っ張って裂いていきます。両側に均等に反るようにしないと、偏って割れてしまいます。子どもたちは最初は失敗もしていましたが、途中から上手に裂けるようになりました。
太いものは四等分、細いものは二等分にします。
このようにして裂いた竹を、木杭の間に互い違いに挟み込んで柵を作ります。
釘などはいっさい使わず、竹のしなりだけで固定します。
こうすると、土砂や雪が柵の裏に堆積すると竹がしなって前にはらみ出しますが、雪が融けたり土砂を取り除いたりするとまた竹が弾力で元に戻ります。
しがら組、完成です。
この活動は今年で6年目。5年は上根来で、1年は同じ鯖街道の若狭町熊川でしがら組を設置しました。
もともとしがら組は山林伐採で裸地化したところに設置していたもので、裸地化することで土砂が流出するのを防ぎ、柵のところに堆積した土の中から木が生えて、大きくなって根を張り、土砂流出を抑えてくれるようになったころにしがら組は腐って土に帰るという、循環型治山施設です。
上根来周辺では近年、シカによる食害がひどくなっています。植林地の放置に加え、シカ食害による森林荒廃が進み、ちょっと雨が降っただけで土砂が流出するようになってきています。このような広範囲の森林荒廃には、従来のコンクリートと建設機械を使った治山だけでは対処しきれなくなっているのではないかと思っています。
それに対するひとつの提案として、自然素材・人力施工による、人間スケールの治山、「市民治山」を進められないかと考えています。その具体策のひとつがしがら組みで、写真をみていただければわかるように、里山景観にもなじんでいます。
これからも取り組んでいきたい活動です。